Publion(下北沢/ビアバー) サッカー不毛の街・下北沢で唯一フットボール文化を感じるブリティッシュパブ

下北沢のビアバー「Publion」で飲める樽生のPUNK IPA

「Publion」は下北沢でサッカー生中継を見ながらお酒を飲める店の中では雰囲気がもっとも「サッカーバー」らしいお店かもしれない。2017年5月現在、食べログのレビューが1件しかないが、いつできたお店なのだろうか。比較的新し目のお店ではあるようだ。

下北沢の一番街は夜になると店も閉まり人通りも少なくなる

下北沢の一番街、踏切からすぐの場所にある。駅から近いが、南口と比べるとあまり人通りのない通り。周辺はアパレル系の店が多いので、夜はさらに静かな印象を受ける場所だ。

店舗情報

下北沢の一番街にあるスポーツバー「Publion」の入り口
Publion入り口

店名:Publion(パブリオン)
住所:東京都世田谷区北沢2-32-6 ビリオンビル 2F
営業時間:18:00~翌1:00
定休日:月曜日

東京都世田谷区北沢2-32-6 ビリオンビル 2F

店内の様子

下北沢のスポーツバー「Publion」の店内。暗めで大型のテレビでサッカー中継を楽しめる

店内は暗め。テレビが2台あって、それぞれで違う試合を放映していた。行った日は金曜日の夜だったが、たまたまJリーグの試合がイレギュラーで開催されていて、生中継の試合が放映されていたようだ。明らかにサッカー目当ての客が3〜4人、それ以外にただ飲みに来ただけっぽいグループがいた。

スタッフは中年の店長っぽい人と、アルバイトっぽい若い女性が1人。おそらく店長が熱狂的なサッカーフリークなのだろうか。

メニュー

看板メニューはなんといっても樽生ビールだろう。タップが5基あって、4つが固定、1つは時期によって変わる構成。この日はヤッホーブルーイングの「よなよなエール」がゲストビアになっていた。

下北沢のスポーツバー「Publion」入り口の立て看板に買いてあったビールメニューと値段

BREWDOGのPUNK IPAが1パイントで1200円。プレミアムモルツが1パイントで800円と、価格は普通か。1杯1200円のビールというのは、一般的には高い部類に入ると思うが、クラフトビールの相場観からすると、まあこんなものかなといったところだろう。
下北沢のスポーツバー「Publion」の店内にあったメニュー表

瓶ビールも定番であるベルギーのヒューガルデン、またイングランドのフラーズIPAのようなマニアックな品揃えも見せており、ビールにこだわっているお店の姿勢が伺える。

フードメニューはすぐ出るものは300円から、フライドポテトが500円、フィッシュアンドチップスが750円と、気軽に頼める価格設定。

下北沢のスポーツバー「Publion」のフードメニュー「カマンベールチーズとモツアレラチーズの味噌漬け」

この日は「カマンベールチーズとモツアレラチーズの味噌漬け」(550円)を注文した。味噌の風味がふわっと上品に香るが、いかんせん量が少ないのですぐに食べてしまった。

下北沢で英国型のビアバーは成功するのか?

下北沢のスポーツバー「Publion」を店外から撮影

下北沢には数多くのバーがあるが、英国型のビアバー、いわゆるブリティッシュパブ風の店は珍しく、サッカーも観られるということで特定の客層には刺さるのではないかと思う。

東京の英国型ビアバーといえば恵比寿の「Footnik」が思い浮かぶ。思い起こすと、2000年代前半の「Footnik」は週末の夜ともなると狂気的な熱量が渦巻いていた。

当時は個人宅にスカパーを配備して海外サッカーを観るというスタイルもまだまだ普及しておらず、海外サッカーに飢えたサッカーオタク、そしてサッカーがないと死んでしまう日本在住英国人が店内に入り切らないほど詰めかけていた。

マンチェスター・ユナイテッドvsアーセナルのような黄金カードでは、英国人たちが英国のバーさながらの雰囲気で騒ぎ出し、収集がつかなくなる一歩手前の雰囲気にもなった。だが、危険とスリルが同居するあの雰囲気はいまやどのサッカーバーにもない。

もしかしたら、六本木などのバーに行けば外国人の集まるスポーツバー自体はあるかもしれない。そうであったとしてもサッカーを取り巻く熱量は当時と大きく違うだろう。

というのも、英国で伝統的にファンが多いのはマンチェスター・ユナイテッド、リバプール、アーセナルであるが、現在、プレミアリーグで強いのはチェルシー。欧州チャンピオンズリーグでも継続的な活躍が期待できるのもチェルシーだけだろう。チェルシーも人気がないとは言わないが、マンUの凄まじい人気とは比較にならない。

そのチェルシーでさえ、チャンピオンズリーグでは、運良くグループリーグを突破したところでスペイン勢に蹴散らされるのがオチ。マンチェスター・ユナイテッドに至ってはチャンピオンズリーグ出場もままならない。つまり、勝負の掛かった一戦に、多くの英国人が詰めかけるという展開にはなりづらい。

また、インターネットでも欧州サッカーが気軽に観られる状態になったことで、海外サッカーオタク、ネットで言うところの海外厨もわざわざサッカーバーまで行って観るという行動はとらなくなった。

おそらく店側としては、日本代表戦での集客に活路を見出しているのかもしれない。しかし、それとてサポーター側の熱量の低下は明らかである。W杯アジア予選で日本が敗退するという状況がほぼないため、90年代〜2000年代前半のようなスリルと一体感は望むべくもない。

また、海外サッカー好き、Jリーグサポーター、日本代表サポーターの3つはすでにくっきりと分かれている。J2チームのサポーターともなると、日本代表への興味は一般の薄いサッカーファンと同程度の関心しか持たないケースも珍しくはない。

そんな時代背景もあって、サッカーの試合に依存した集客がそれほど期待できない以上、サッカー好きでクラフトビール好きの常連をいかに作っていくかが店の命運を分けると思われる。

それにしてもよりにもよって、なぜ下北沢にサッカーバーを作ってしまったのだろうか。下北沢といえば、世田谷サブカル文化の総本山である。スポーツ・体育会の要素はまったくない。下北沢は「運動部で活躍するようなスクールカースト上位の男子」にはなれなかったけど、それでも何者かになりたくて演劇やら音楽やらをやることでかろうじて自我を保つ元スクールカースト低位の男子と、渋谷や原宿では目立てないけどそれでも個性的でありたいと願うサブカル女子、そして世田谷生まれの不良たちが集まってできた「シモキタ」という一種のフィクションの上に成り立っている街なのだ。

だからスクールカースト低位だった彼らの学生時代の苦い記憶を掘り起こすような「サッカー」がそんなに流行るとも思えない。もちろん小沢健二のように、サブカル男子なのだけれどサラッとサッカーにも超詳しいような博識な者もいないわけではないのだろうが。

なんだか最後の最後でDisったような感じになってしまったが、下北沢は大好きだし、別にこのお店が嫌いなわけではない。むしろ、サッカーが観られて、一人で行ける雰囲気の店はいまのことろここしか知らないので、長く営業を続けて欲しい店のひとつだ。

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2017年11月30日下北沢のバー

Posted by setagayaZINE